小麦は胚乳、表皮(ブラン)、胚芽の3つの要素で構成されています。通常の小麦粉の場合だと表皮や胚芽を除いてから挽くのに対して、全粒粉とは、小麦の粒を丸ごと挽いたもの。まるごとすべてを挽くことで、表皮に含まれる豊富な食物繊維を手軽に摂取することができるというわけです。また、表皮はマグネシウム、鉄分、亜鉛などミネラル分も多く含むので通常の小麦粉よりも栄養素の種類も量も豊富です。これが最近、健康食として全粒粉が注目されている最大の要因と言えるでしょう。色は通常の小麦粉とは違い、茶褐色。香ばしい風味と、歯ごたえのある食感も楽しめます。

全粒粉の主な食物繊維である発酵性食物繊維は、腸内の有用菌(善玉菌)のエサとなり、腸内環境を整えてくれます。
メカニズムとしては腸内には40兆個もの腸内細菌がおり、腸内細菌環境の良し悪しは、有用菌(善玉菌)と悪玉菌のどちらが優勢かで決まります。発酵性食物繊維が不足なく摂取されていれば、有用菌(善玉菌)が腸内で生き抜くことができ、腸内環境を良い状態に保つことができるのです。
それによって、満腹感の向上による肥満防止、血糖値の急上昇の抑制、血圧正常化、免疫機能への好影響などさまざまなメリットを得ることができます。逆に腸内環境が悪いと、ストレスを抑えるホルモン分泌の低下が起こり、脳にも悪い影響がでることが分かっています。身体だけでなく心の健康にとっても、食物繊維はとても有効な栄養成分と言えます。

実は、1日の最初にとる食事が、その次にとる食事の血糖値上昇に影響します。これを、セカンドミール効果と言います。例えば、朝、発酵性食物繊維を豊富に含む食品を食べると朝食時の血糖値上昇がおだやかになるのはもちろん、その次の食事である昼食での血糖値の上昇も穏やかになるのです。